バイヤーの仕事をしていて嬉しいのは、卸した商品が売れて、お店様に喜んでいただいた時です。「思いもよらなかった品が来たけど売れて驚いた、嬉しい」とお声をいただいた時は、思わず心の中でガッツポーズしてしまいます。今回はそんなお話です。

ある年に「しめ縄を販売したい」とクライアント様からご依頼をいただきました。

そこで私は2種類のしめ縄を用意しました。一つは海外メーカーから取り寄せたしめ縄。お値段はお手頃、きれいな化粧箱に入り、見栄えの良さが魅力でした。もう一つは私自身が国産の素材を仕入れ手作りしたしめ縄。化粧箱の手配まで気が回らずに、そのままの姿。ただし一つ一つアレンジを変えました。価格は海外製のしめ縄の1.5倍価格になりました。

クライアント様のショップへ伺い、そこで目にしたのは、残り一つになった私のしめ縄。海外製より値段が高く、化粧箱もありませんでしたが、「こっちの方が好き、綺麗」と選んでいただいたとのことでした。

クライアント様に商品を提案する際、良かれと思って安い方を勧めてしまいがち。

けれどお客様の願いは「良い買物をしたい」。自分が買い物をする時でもそうですよね。私が作ったしめ縄は、とことん手をかけて作ったというよりも、国産の素材でポイントを華やかに飾った品でした。

「次回も国産の手作りのしめ縄をお願いね」とクライアント様から声をいただきましたが、あいにく最近は忙しく、制作の時間がなくなってしまいました。誰かに作ってもらえば良いのでしょうが、ポイントアレンジを人に伝えるのは難しいものなのです。

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